(元)夫婦にとって夫婦身近な民法改正

民法は2024年にも改正・施行されましたが,実は2026年4月にも改正・施行されます。
具体的には,一般の先取特権に「監護費用の先取特権」が追加されることです。

そして,監護費用追加後の一般先取特権における優先弁済を受ける順位は,以下の通りとなります。

共益費用の先取特権>雇用関係の先取特権>監護費用の先取特権>葬式費用の先取特権>日用品供給の先取特権

ちなみに監護費用とは,以下の通りです。
①夫婦の協力及び扶助の分担の義務
②婚姻費用の分担の義務
③監護費用の分担義務
④扶養の義務

上記のような債権が物権の一つである先取特権により担保されるのように民法が改正されるのは,よくよく考えてみると当然といえば当然と思いますが,「先取特権って何?」と思われる方は多くいることでしょう。普段使うことがない権利ですし,馴染みのない言葉だからです。

簡単に解説すると,監護費用の先取特権が認められると,監護費用を払ってもらえない夫・妻又は子は,監護費用を支払う義務のある債務者の総財産から優先的に弁済が受けられる権利が与えられることになります。
たとえば,監護費用を支払うべき債務者に土地や建物があるのであれば,監護費用を払ってもらえない夫・妻又は子は,当該監護費用の支払いを担保するために監護費用を支払うべき債務者の土地や建物に先取特権の設定登記をすることができます。

そうすると,もしそれらの土地や建物に抵当権が登記されていても,当該抵当権者と同じように優先的に弁済を受けられるようになります。
但し,たとえ監護費用の先取特権を登記していても,先順位の抵当権者がいれば当該抵当権者がまず先に優先弁済を受け,その後に登記した監護費用の先取特権者が弁済を受けることになります。

素人の方には少し難しい話かもしれませんね。