令和7年度 職場環境等要件の改正内容

介護や福祉業界には処遇改善加算が受けられますが,この処遇改善加算を受けるためには「月額賃金改善要件」,「キャリアパス要件」及び「職場環境等要件」を満たし、かつこの要件に合わせたかたちで就業規則や職場環境等を整備することが求められますが,このたびは令和7年4月より「職場環境等要件」が改正されることになっています。

具体的には,受け取る処遇改善加算のランクに応じて取り組むべき施策が加重されることになりました。

【改正後】

介護職員等処遇改善加算Ⅲ・Ⅳ:以下の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組んでいること。

介護職員等処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ:以下の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上,うち※は必須)

■入職促進に向けた取り組み

・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針,その実現のための施策・取り組みなどの明確化

・事業者の共同による採用及・人事ローテーション・研修のための制度構築

・他産業からの転職者,主婦層,中高年齢者等,経験者・有資格者等にこだわらない幅広い仕組みの構築

・職業体験の受け入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取り組みの実施

■資質の向上やキャリアアップに向けた支援

・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する事務者研修受講支援や,より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する研修の受講支援等

・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

・エルダー・メンター制度導入

・上位者・担当者等によるキャリア面談など,キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会確保

■両立支援・多様な働き方の推進

・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実,事業所内託児施設の整備

・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正社員制度の導入,職員の希望に即した非正規職員からせいきしょくいんへの転換制度等の整備

・有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識づくりのため,具体的な取得目標を定めたうえで取得状況を定期的に確認し身近な上司等からの積極的な声掛けを行う。

・有給休暇取得促進の貯め、情報共有や複数担当制等により,業務の属人化の解消,業務配分の偏りの解消を行っている。

■腰痛を含む心身の健康管理

・業務や福利厚生制度,メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや,従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施

・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術習得支援,職員に対する腰痛対策の研修,管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施

・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制整備

■生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取り組み

・厚労省が示す「生産性向上ガイドライン」に基づき,業務改善活動の体制構築※

・現場の課題の見える化※

・5S活動(整理,整頓,清掃,清潔,躾)等の実践による職場環境の整備を行っている。

・業務手順書の作成や,記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている。

・介護ソフト(記録,情報共有,請求業務転記が不要なもの),情報端末(タブレット端末等)の導入

・介護ロボット(見守り支援,移乗支援,排泄支援,入浴支援,介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資する機器導入。

・業務内容明確化と役割分担を行い,介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に間接業務(食事等の準備や片付け)がある場合は,介護助手等の活用や外注等で担うなど,役割の見直しやシフトの組み換えを行う。

・各種委員会の共同設置,各種指針・計画の共同さくってい,物品の共同購入等の事務処理部門の集約,共同で行うICTインフラの整備,人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等,共働化を通じた職場環境の改善に向けた取り組みの実施。

■やりがい・働きがいの醸成

・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善

・地域包括ケアの一員としてのモチベーションの向上に資する,地域の児童・生徒や住民との交流の実施

・利用者本にのケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供

・ケアの好事例や,利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供