働き方改革で忙しい
大企業や派遣会社は2020年4月から,中小企業は2021年4月から働き方改革関連法が施行されるようになった。
これら法律は,企業にとって非常に大きな改正であり,対応できていない企業が現状でも多くあるのではないでしょうか?
この法律のキャッチコピーともいえる言葉は「均等・均衡待遇」で,簡単にいえば「バランスを考えた平等な労働条件の整備を!」と読み替えることができる。
すなわち,均等・均衡待遇は,いわゆるパートや有期契約労働者に対して正社員(正規労働者)と同じく「通勤手当」はもちろん,理由なく「家族手当」「賞与」「退職金」をもこれら非正規労働者に対して支払わないことが禁止されることになりました。ここで非常に問題となってくるのは,多くの企業では,中小企業も含め7割超えが家族手当を支払っているのが現状で,また正社員には賞与や退職金を支払ってもパートや有期契約労働者に対しては支払っていないのが大半なのではないでしょうか?
いま私が業務の中で対応中なのがまさにこの問題についてで,企業にとって限られた賃金原資をいかに「中核となる人材:正社員」に集中させるか?が非常に問題となっています。確かに,パートや有期契約労働者も必要な人材ですが,これらはどちらかというと補助的業務担当で,いわゆる労働の調整弁的な存在と考えられています。よって,調整弁的ではない中核的で優秀な人材となり得る正社員をいかに採用可能とするのか,が企業にとって生命線となってくるといっても過言ではありません。しかしながらその一方で,パートや有期雇用労働者も必ず必要な人材で,これら労働者の労働条件をおろそかにしていると企業価値が下がり,ひいては企業の存在をも危うくさせてしまうことに繋がってしまうことになりかねません。
コロナの影響により昨年12月ごろから関与先企業で「働き方改革」に奮闘してしますが,この状態が今年いっぱいは続くと思われます。また,新たに依頼がくることも十分に考えられます。働き方改革にまつわる条文はもちろん,日本郵政,長澤運輸事件,メトロコマース事件,大阪医科薬科大学事件などの最高裁判例を参考に,毎日戦っております。